「SPソイルネイル」は、従来の2重管での削孔方式に比べ「高速」で「簡易」「低コスト」を実現します。
掘り起こし全景
2方向加圧後のビット先端部の断面状況
SPソイルネイルの加圧注入効果は「掘り起し試験」などで検証されています。
特徴
- ・従来のアンカーマシンによる二重管方式に比べ、部材が軽量で、ロッドの回収や芯材の立て込み作業もなく、省力化と高速施工が可能です。
- ・外管は市販の一般管でSPボルトと同時回転しながら押し込み、回収して再利用します。
- ・口元を二重管とし2方向加圧注入する「部分二重管方式」で周面摩擦力(τ)を改善します。
- ・スクリューセントライザーは、ビットと外管出口の芯出し、ボルトのスペーサ機能、付着力の向上と多くの目的を具備したマルチタスク部品で、迎え角によるスライム排出の向上も期待できます
- ・スイーベルはコンパクトで操作性が良く、構造もシンプルで経済的です。
SPボルト使用部材
SPボルト諸元
本設ボルトは亜鉛メッキ仕上げ(HDZ55)
呼称 | 腐食シロ=0.0mm | 腐食シロ=直径1.0mm | ||||||
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外径/内径 (mm) |
断面積 (mm²) |
降伏 (kN) |
破断 (kN) |
外径/内径 (mm) |
断面積 (mm²) |
降伏 (kN) |
破断 (kN) |
|
SP29 ボルト |
φ28.5/13.0 | 435.0 | 204 | 255 | φ27.5/13.0 | 394.0 | 185 | 231 |
SP付属部品
打設・注入用ツールス
※先導管はご要望の呼び長さも準備できますが、特注となります。
作業要領
先導外管の人力回収、補助治具 確実な人力回収
※SPソイルネイルは、外管を「人力回収」し、複数ボルトを「まとめて注入」できて高速施工です。
※万が一、人力で抜けない事態にも対処できるように、軽量な油圧治具も用意しております。
簡易な油圧引抜治具(重量=11kg)
施工状況(人力回収できない時に限定して使用)
要領図(部分2重管方式)
部分2重管方式
先導管による2重管掘り 先導 1.50m先導管による口元削孔状態図
通常は1.50mの短尺先導管の内側に中空のSPボルトを配置して単管掘り用の小型マシンによるロ元部の2重管削孔を行います。
短尺先導管による2重管掘りを完了したら、スイーベルから先導管およびSPボルトを解除して取り外します。
注記
・無足場施工マシンの削孔能力は最大打設=5.0m程度と小さい。
・この場合はマシン能力に配慮して先導管長さ=1.0mとして良い。
ボルトの追打ち状態図
先導管を残したまま、追加のボルトをカップラ接続してスイーベルでボルトのみを追打ちします。
所定深さまで削孔したら追打ち部の部分崩落したスライムを洗浄し、セメントミルクが口元に確実にリターンできるようにミルク道を確保します。
追打ち部の確実な全面定着は注入工程での積極的な『2方向加圧注入』により実現します。
注入要領図
設計のVE提案 -Τの改善-
SPソイルネイルの『部分2重管方式』ではセメントミルクの『2方向加圧注入』が基本で、定着地盤(不動地山)に積極的な加圧注入を行います。
一方、従来の切土補強土の施工ではセメントミルクを無加圧で充填するため、設計に用いる極限周面摩擦抵抗(τ´)にはアンカーの値に80%を乗じて低減した値を採用していました。
(NEXCO中央研究所、切土補強土工法設計・施工要領 H19年1月版 33ページ参照)
SPソイルネイルで『2方向加圧注入』を前提に設計する場合、アンカー工と同じ確実な加圧注入を行うので、極限周面摩擦抵抗(τ)にはアンカー工と同じ値を採用できます。
※ロックボルト工事の小型マシンの削孔能力は、最大呼び径φ65mmで最長7.0m程度です。
※これで設計できない軟弱地山や孔壁の自立しない地山はアンカーマシンで2重管掘りし、この場合の最大呼び径はφ90mmでした。これらの周面摩擦力(定着力)を比較してみましょう。
φ90の周面摩擦力:T補強土 = φ90 × π × τ' × L = φ90 × π × 0.8 × τ × L ---(1)
φ65のSPソイルネイル(加圧注入):Tsp = φ65 × π × τ × L ---------------------(2)※L:定着長
※(Tsp)/ T補強土 = (2)/(1)= φ65 / (φ90 × 0.8) = 0.902(▲10%不足)
※まだ10%はφ90mmの周面摩擦力に劣りますが、かなりの付着力改善があり、不足は定着長さを少し長めに調整すれば、小型マシンでも対応できるようになり経済的な設計が可能です。