特徴
- ・長期供用中の疲労耐力に極めて優れたリブ・ピッチ
- ・最適なシース可撓性で、緊張ロスが安定して小さい
- ・偏向部でのすり減りが小さく、局部破れの心配がない
- ・終局付着力は国際協会FIB指針に準拠しており安心
- ・プレキャスト材の目地部も改善できる豊富な部品列
高密度ポリエチレンの物性
高密度ポリエチレンは極低温環境に晒される構造物にも安心して採用できる他、耐薬品性にも優れた効果を発揮する経済的で耐候性を兼ね備えた素材です。
■高密度ポリエチレンの特性一覧
区分 | 項目 | 特性値 |
---|---|---|
物理特性 | 密度 | 0.942(g/cm3)以上 |
引張強さ | 19.6(MPa)以上 | |
引張破断伸び | 300(%)以上 | |
引張弾性率 | 600~1300(MPa) | |
熱特性 | 線膨張係数 | 11~13×10-5(/℃) |
脆化温度 | < -80 (℃) | |
ビカット軟化点 | 115(℃)以上 |
設計諸元
PLUX-1のリブピッチと肉厚は1990年初期に開発され、豊富な施工実績を有する海外のプラスチックシースと等価形状を採用しており、各国で実施された実大疲労試験、曲げ特性試験、すり減り抵抗性試験の結果を反映した理想的なPEシース形状としております。
■設計諸元の比較
項目 | PLUX-1 | 鋼製シース | ||
---|---|---|---|---|
摩擦係数、µ値 | 0.14 | 0.3 | ||
波打係数、λ値 | 0.001 | 0.004 | ||
最小曲げ半径 (m) |
緊張温度 | ≦ 50℃ | 100D | 100D |
> 50℃ | 注1) | |||
最大支持間隔 (mm) |
シース 呼称 |
#35-#45 | 500 | 1000 |
#55 | 625 | |||
#65-#75 | 750 | |||
#80-#105 | 900 | |||
#150 | 1000 | |||
最大疲労振幅応力:Kpa | 130 | 100 | ||
コンクリート最小かぶり(mm) | 35 | 35 |
■ケーブル偏向部での応力分散
- ・最小曲げ半径(50℃):100D、D:呼び径(m)
- ・最大支持間隔:暑中35℃を考慮、マルチストランド:≦12D
- ・50℃以上の高温環境での緊張は、「すり減り量」や「緊張後の偏向圧によるへこみ量」を低減できる
- 注1)「冷気送風緊張工法」を提案
構成部品
適用ケーブル
PC鋼材 | PC鋼より線 | PC鋼棒 | ||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
シース呼称 |
#35 | #45 | #55 | #65 | #70 | #75 | #80 | #85 | #95 | #35 | #45 | |
ケーブル種別 | 裸 | 1S19.3 1S21.8 |
1S28.6 4S12.7 |
5S15.2 7S12.7 |
12S12.7 | 12S15.2 | 12S15.7 | 19S15.2 | φ23 | φ26 φ32 |
||
被覆 | 1S15.2Ep 1S15.7Ep 1S17.8Ep |
プレグラウト 1S21.8 |
プレグラウト 1S28.6 |
- | - | 12S12.7Ep | - | 12S15.2Ep 12S15.7Ep |
- | - | - |
※PC鋼棒とプレグラウトを除き、『50℃以下、曲げ半径=100D』で適用可能。
更に厳しい条件には「冷気送風緊張工法」を提案。
直管シース(#35~#150)
※各部品図の製品列と詳細寸法はカタログをダウンロードしてご確認ください。
品質、性能評価試験
局部的な外力抵抗力
等圧外力に対する抵抗力
シースの曲げ特性試験
すり減り抵抗試験
付着性能試験
漏れ試験
可とう性試験
等価ピッチ/リブを持つ製品の試験実績(海外)
実大桁による疲労性能の評価
本試験は1990年に実施された試験ですが、その後更に大容量(15.2-19本)ケーブルでの疲労検証も同じくチューリッヒ工科大学で実施され、 このシース形状がケーブルの疲労特性を著しく向上させることが再確認されています。 (疲労振幅で鋼製シースの約 2倍の20kgf/mm²以上)PEシースPLUX-1の形状選定では、 この他ACI StructualJournal 3-4 1996に投稿されたテキサス大学の事例なども調査し、施工性・経済性より、らせん状リブとした以外は等価な直径とピッチを採用しています。
チューリッヒ工科大学における梁の実大疲労試験
必要壁厚の決定
ケーブル緊張状態下でのストランド滑動と曲率、すり減り量の関係を調査し、これに施工性の考慮を加えてシースの壁厚を決めてあります。
長尺ケーブルのモルタル注入試験
水平77mに亘って中間ライズを設けて注入試験を実施、結果は良好と報告されています。本試験でのプラスチックシースは独立閉鎖型のリブ形状を採用しておりますが、PEシースPLUX-1は連続的な、らせん状のリブを採用しており、更なる充填性の向上が期待できる他、接続シースの構造が簡略化され、経済性にも優れています。
出処:プレストコンクリートVol.No.1 Jan.1993